nakaban
Dissonance is unknown harmony
2020.10.17(sat) - 11.1(sun)
うつくしいと感じるその想いは
どんなときにうまれるのだろう
何かをみて
心が動くのはどんなときだろう
時々自分の心に問いかけてみる
人は みな違っていて
でも
みな心の内に『同じ部分』をもっている
等しく持っていたはずの感覚
そして何処かで失くしてしまった記憶
それらを決して失わずに
見つめている人もいて
そうした人から生み出される作品は
とても静かな声を発している
キャンバスに描かれたもう一つの世界で
『誰か』の記憶と『私たち』という意識の集合体の記憶が混ざり合う
夢から呼び起こされた微かな声が
色彩を帯びて
やがて旋律へと変わっていくように
画面の前に立つことは
そんな音を聴く体験に
似ているのかもしれない
-BOOKSHOP Kasper-
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Interview with nakaban
①絵を描きはじめたきっかけとなるような出来事がありましたら教えてください。
若者らしく、何かを期待して美術学校に進んだのですが卒業するまで絵の本当の面白さには気づかないままでした。
芸術の持つ「ある種の格式」が絵を素直に楽しむことの阻害になっていました。
絵の道を諦めて、働いていたこともあるのですが、勤務時間外の寝る間を惜しんで絵を描いている自分がいました。
それで「シンプルに私は絵が好きなのかもしれない」と気づきました。
なんでもないある日の夜明け前のことです。
②アトリエでは、どんな風に一日を過ごされていますか?
好きな音楽のCDを聴きながら絵を描いています。
挿絵などの仕事と自分自身のプロジェクトが50:50です。
気分転換はコーヒーを淹れたり食事を作ったりしています。
近頃は本も読まないしインターネットもあまり見ません。
たくさんの無花果の木を鉢植えで育てています。
③製作の拠点を首都圏から広島へ移されてから
ご自身の心境や生活など、変化したと思うことがありましたら教えてください。
変化はありません。どこに住んでいても基本的に絵や言葉の中に住んでいるという感じです。
でも、内向性を突き詰めると世界や他者に繋がる道が見えてくるように思います。
広島市はいいところですよ。汽水域の河口に広がる街区を路面電車がのどかに行き交っています。
④アーティストとして生きる上で自分が大切にしていると
思うことがありましたら教えてください。
芸術という仕事を神秘のヴェールで覆わない。
みんなが芸術家であればいいと思っているので、
わたしの絵を見た人には、これなら自分も描いてみたいと思ってもらいたいです。
しかしそのようなものを提示するには何かしらのエネルギーが必要ですね。
それが何なのか、今、どうしたらいいのかをいつも考えています。
⑤Kasperでの個展の構想について教えてください。
まだ数枚しか描いていない段階ですが、不調和はまだ知らない調和である。
(Dissonance is unknown harmony)という仮説を立て、制作を楽しんでいます。
飾って飽きない絵を描きたいんです。
今回は意図の発するノイズを削ぎ落として描いてみたいと思い、試してみましたが難しいですね。
わたしは瞑想の達人ではありません。
それでも仕事に夢中になれば、いろいろな要素の間にある関係性が見えてきます。
真空に見えてもそこは無ではないんです。
関係性があり、その見えない繋がりを思うとき、世界はまさしく絵画的です。
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Interview with nakaban
1. What made you start painting?
I entered art school expecting something exciting like most young people do,
but I didn’t realize how fun it is to paint until after I graduated.
Some sort of formality in art made it difficult for me to fully enjoy painting.
I once gave up my painting career and had a day job,
but ended up cutting down on sleep to paint in my spare time.
One day before sunrise, I realized I might really like painting.
2. Tell us about a day in your studio.
I paint while listening to music I like.
I work half in illustrations and half in my own project.
I make coffee or cook something during a break for a change.
I have not read books or checked the Internet recently.
I grow a lot of fig trees.
3. How did your state of mind or lifestyle change
after you moved your studio to Hiroshima from around Tokyo?
Nothing has changed.
I feel like I basically live in paintings and words no matter where I live.
But, I think focusing on introversion leads to a way that connects to the world and others.
Hiroshima is a nice place.
It’s peaceful to see trams running throughout the city
near the river mouth of the brackish water region.
4. What is an important thing in living as an artist for you?
Not to make “art as work” mysterious.
I think everyone can be an artist,
so I would like people who see my paintings to think “I want to paint this”.
But I also think I need some energy to present that kind of work.
So I always think, what sort of energy it is or what I should do now.
5. Tell us about the concept for the upcoming show in Kasper.
I have done only a few,
but I am enjoying the production with the hypothesis that
“dissonance is unknown harmony”.
I have been trying to cut out the noise emanating from intentions in the show,
but it is hard. I am not a meditation expert.
When I am really into work, I start seeing relations between things.
Thinking of the invisible connections makes the world very picturesque.