生平桜子さんの個展を開催させて頂くに当たって
いくつかの質問、そしてKasperでの展示への構想を伺いました
そこにあり、そして同時にないものでもある、
ー表現したいと思う全ては、儚く過ぎる愛おしむべき対象ー
アーティストが個展タイトルに冠したメッセージは
どのような波紋をみなさんの心に広げてゆくでしょうか
変容の只中にある不確かな世界の輪郭を
鮮やかに浮かび上がらせてゆく漆黒のライン
EXISTENCE / ABSENCE
ご高覧いただけましたら幸いです。
-BOOKSHOP Kasper-
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❶ 生平さんの好きな言葉を教えてください「彫刻とか絵画とか、そんなものはたいしたものではない、
試みること、それだけがすべてだ」 ーアルベルト・ジャコメッティ
「僕は明瞭でありたいが不明瞭でもありたい」 ージャン=ミシェル・バスキア
「美は「もう充分」というすべを知っている。
野蛮はもっともっととわめきたてる。」ー柚木沙弥郎
❷ 1日のうちの好きな時間を教えてください
早朝、夕暮れ時、真夜中。
❸ 生平さんの好きな場所を教えてください
家が好きです。
最近訪れた場所では仙石原。
パリも印象深いです。
❹ 生平さんにとって絵を描くという行為はどんなことなのでしょうか?
ただ何かを通して集中していたいということなのだと思います。
その手段として、いつからかこれだと決め「絵」を選んでいた。
得意という認識は昔からなく、描くことにはずっと慣れない。
自分の持てる唯一のこれを諦めない、という感覚です。
そうしていると、少しずつ面白く、たのしくなってくる。
自分という器は日々無意識にも何かを取り入れ続けていて、
何を見て、何を選びとっているのか、 何に魅力を感じ、何を言おうとしているのか、
少しでも具現化し認識することで、 絵と自分(精神)が結びつけられ、手が動きます。
その時の鮮度は大切にしている。
常に考えてしまう性分なのでこういうプロセスになりがちですが、
何も考えず直感で走り描いた絵にも、
すぐ認識できないだけで、沢山の情報が含まれているし、
試みた時点で目的を遂げているのだから、本来それでいいのです。
その直感の中で描き、自分でも驚くような絵も時々あります。
そういう時には、これがただ描くということなのかもと思えて
うれしくなる。
そしてそれは無意識や無作為というわけではなく、 少なからず、
それまで考え描いてきた蓄積の上に 身体的な記憶ができたからこその線、
ということなのでしょうか...自分だけの小さな発見が私を生かし、
歳をとっても、どこへ行っても、
自分の実感が伴うその時の本当をもって、表現することなのだと思います。
❺ 今回のKasperでの展示タイトル「EXISTENCE | ABSENCE(存在 | 不在)」
について教えてください。
言葉にするのはとても難しいのですが、 選び取れる小さな選択一つ一つの尊さを
今展では言いたかったのだと思います。
誰かへの花むけに、日々のたむけにと、花屋へ行く機会が増えた頃です。
寄る予定はないのに、花屋の前に差し掛かり、
迷いながらも結局数輪買って帰りました。
花器に挿れ、部屋の窓辺に置き、何かに追われ、しばし忘れました。
部屋に戻ると、 窓辺のそれがカーテンを奥にシルエットとなり、佇んでいた。
その一見、秘めたるものを見てしまったような...どきっとして、ただ見入りました。
そのとき、花屋に寄らなければこの得難さは無かっただろうと、
この心象と光景を表せないかと思いました。
「生 / 死」は「存在 / 不在」ともとれる。 有る・無いという事実とは別に、
私が認識するかしないかでもそのことは言える。
真逆と思われることが、隣り合わせだったり、背中合わせだったり。
表現したいと思う全ては、儚く過ぎる愛おしむべき対象で、
表現者もまた限られた時間を生きている。
自然物には敵わないと分かっていながら人は制作をやめない。
作り手は学び続けたいし、 鑑賞する人はそれを見ていたいと
思うのではないかと思います。
絵は言語とは別の体験や会話であると思っていますが、
今回このように言葉を持てる機会を頂いたので、
思うところ素直に長々言葉を連ねました。
書けば書くほど文章の難しさを痛感しましたが、向き合う時間はとても有意義でした。
ありがとうございました。
少しでも具現化し認識することで、 絵と自分(精神)が結びつけられ、手が動きます。
その時の鮮度は大切にしている。
常に考えてしまう性分なのでこういうプロセスになりがちですが、
何も考えず直感で走り描いた絵にも、
すぐ認識できないだけで、沢山の情報が含まれているし、
試みた時点で目的を遂げているのだから、本来それでいいのです。
その直感の中で描き、自分でも驚くような絵も時々あります。
そういう時には、これがただ描くということなのかもと思えて
うれしくなる。
そしてそれは無意識や無作為というわけではなく、 少なからず、
それまで考え描いてきた蓄積の上に 身体的な記憶ができたからこその線、
ということなのでしょうか...自分だけの小さな発見が私を生かし、
歳をとっても、どこへ行っても、
自分の実感が伴うその時の本当をもって、表現することなのだと思います。
❺ 今回のKasperでの展示タイトル「EXISTENCE | ABSENCE(存在 | 不在)」
について教えてください。
言葉にするのはとても難しいのですが、 選び取れる小さな選択一つ一つの尊さを
今展では言いたかったのだと思います。
誰かへの花むけに、日々のたむけにと、花屋へ行く機会が増えた頃です。
寄る予定はないのに、花屋の前に差し掛かり、
迷いながらも結局数輪買って帰りました。
花器に挿れ、部屋の窓辺に置き、何かに追われ、しばし忘れました。
部屋に戻ると、 窓辺のそれがカーテンを奥にシルエットとなり、佇んでいた。
その一見、秘めたるものを見てしまったような...どきっとして、ただ見入りました。
そのとき、花屋に寄らなければこの得難さは無かっただろうと、
この心象と光景を表せないかと思いました。
「生 / 死」は「存在 / 不在」ともとれる。 有る・無いという事実とは別に、
私が認識するかしないかでもそのことは言える。
真逆と思われることが、隣り合わせだったり、背中合わせだったり。
表現したいと思う全ては、儚く過ぎる愛おしむべき対象で、
表現者もまた限られた時間を生きている。
自然物には敵わないと分かっていながら人は制作をやめない。
作り手は学び続けたいし、 鑑賞する人はそれを見ていたいと
思うのではないかと思います。
絵は言語とは別の体験や会話であると思っていますが、
今回このように言葉を持てる機会を頂いたので、
思うところ素直に長々言葉を連ねました。
書けば書くほど文章の難しさを痛感しましたが、向き合う時間はとても有意義でした。
ありがとうございました。
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Interview with Sakurako Oidaira
1) What is your favourite quote?
“Sculpture or painting is not a big deal. Trying is all that matters.”
- Alberto Giacometti
“I want clarity but I also want to have some sort of obscurity.”
- Jean Michel Basquiat
“Beauty knows the art of ‘enough’. Savageness screams more and more.”
- Samiro Yunoki
2) What is your favourite time of day?
Early morning, twilight and midnight.
3) What is your favourite place?
I like my home.
Sengokuhara, Hakone are among places I recently visited.
Paris is impressive too.
4) What does drawing mean to you?
I probably just want to concentrate on doing something.
I picked drawing as a means to concentrate at some point.
I never thought I was good at it or felt comfortable doing it.
It is like this is the only thing I have and I will never give it up.
Then it becomes fun and enjoyable.
Assuming that I am a vessel,
I take in things unconsciously everyday.
When I realize what I see, what I choose, what fascinates me
and what it is trying to say,
my mind gets linked to a picture and my hands move.
It is important to keep the feeling fresh.
I take this process as I tend to get caught up in my thoughts,
but it should be ok because drawings done with my intuition
still include a lot of information you cannot just instantly realize
and they achieve the purpose once I tried.
Such drawings are sometimes surprising
and make me happy to think that this is what drawing is.
It does not mean they are unconscious or random.
I wonder if I could draw the lines
because I accumulated physical memory on the top of my thoughts
and all the drawings I have ever done.
My own small discoveries bring me to life and I think
that is all about creative expression
with the fact for the moment involving your actual feeling,
no matter how old I get or where I go.
5) Tell us about “EXISTENCE | ABSENCE”,
the title for the upcoming show at Kasper.
It is hard to explain, but in this show,
I think I wanted to express the importance of each small choice we make.
It was around the time I often bought flowers
as farewell gifts or an offering. One day I stopped
by a flower shop by chance
and ended up bringing some flowers back home.
I placed them in a vase by the window and left the room
for a while to do something else.
When I came back to the room,
I saw them make a shadow against the curtain.
With a glance, I was startled and stared at them.
Then I thought I would not have had that moment
if I did not drop by the flower shop that day,
and wanted to express that imagery and scene.
“Life/death” can be interpreted as “existence/absence”
which also depends on whether I realize or not,
besides the fact of presence or absence.
Things that look like the other way
around could lie side-by-side or back-to-back.
All the things I want to express are fugacious.
Those who express live for a limited time too.
We do not stop creating even though
we know we cannot compete with nature.
Creators want to keep learning and those
who appreciate probably want to see them learning.
Although I believe that drawing is experiences
or conversations without language,
I used words to express my thoughts taking this opportunity.
I keenly felt the difficulty of writing,
but I had a meaningful time to face it.
Thank you.
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