没後30年近くが経とうとしている今も、わたしたちを魅了し続けるアンドレイ•タルコフスキーの映像。
監督の死により幻の映画となった、未完の作品「ホフマニアーナ」のシナリオがECRITより刊行されました。
シナリオでもあり幻想小説でもあるこの作品は、ドイツロマン派幻想文学の奇才•ホフマンをテーマとして構想されました。
幻視者としてのホフマンとタルコフスキー。
「ホフマニアーナ」では両者の世界が混じり合い、燃えさかる歌劇場、古城の塔の一室、鏡や揺らめく蝋燭の炎の中に現れては消えるイメージが、わたしたちを現実世界の境界へと誘います。
山下陽子氏による美しく精緻な銅版画が、ホフマンが追い求めた愛の幻影を垣間見せてくれるようです。